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「もしあの時、紗々羅だけあの場を去ってたらどうなってた?」
「それは……」
あの時はまず俊太が心配だった。みんなの俊太に対する期待は大きかったみたいだし、私をマネージャー希望者だと勘違いしたみんなの安堵感や盛り上がりもすごかった。それに……
「あの場でお前にマネージャーやらせなかったら、ド真面目だから後から申し訳ないとか、みんな困ってないかとか、俺のことも大丈夫かって…いろいろ気に病んで、下手したら感じなくていい罪悪感まで抱えるだろ? そうさせたくなかったんだよ」
「嘘……俊太がそんなこと……」
あの時、そんな風に考えてくれていたなんて夢にも思わなかった。
「…じゃあ、でも、なんで? マネージャーやらせたくないっていうのは?」
頭の中が混乱していて上手く言葉を繋げない。私は混乱した頭を抱えるようにして言った。
「サッカー部には…掟があったし……」
「掟……?」
突然そのワードが出てきたので私はさらに困惑し、首を傾げた。
「お前がマネージャーになったら……付き合ったり…出来ねえだろ……」
その後しばらく沈黙が続いたのは、混乱していた頭の中がついにキャパオーバーでショートしたからだ。
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