白の試験者

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 そのまま私は卓袱台毎、襖の向こうに運ばれた。動かない頭で周りを見回すと、何人か私のような男性の姿が透明の筒状のものに固まった状態で収められていた。  さらば地球よ、旅立つ船は。  私はこうして、地球を離れる事になったのである。  我が精液は、精子は、宇宙のどこかの星の人々を救うのだろうか。  ずっと心のどこかで思っていたのだ。こんな世の中にはおさらばしたいと。精子バンクに登録するなどという馬鹿げた話も、そういった考えから浮かんだものなのだった。  今私は念願が叶い、この世界から去って行けるのだ。せいせいする思いだった。 「それでは、出発します」  看護師氏の声が聞こえた。  だが視界に入ってきたのは、大きな蜂のような姿をした生き物だった。 (終)
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