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春斗は僕がアキちゃんのことをずっと好きなの知ってるもんな……。
何で断ったんだって聞いてくるよな……。
今日聞かれなくても、いずれ聞かれるだろう。そう思うと憂鬱だった。
傷口に塩を塗られたくない。
自分だって本当は秋斗の告白を受け入れたかったのだ。
「しかし……手を繋いで寝るくらいで眠れるとはな」
「良かった。いい方法があったね」
「そう、だな」
宗佑が今までに見たことの無いほど穏やかな顔をしている。
お父さんてこんな顔もするんだなと、洸太は驚いた。
「お前は………優しいんだな」
「何?いきなり……どうしたの?」
「いや……。俺のことなんて憎んで当然だし、実際俺は父親のことも姉のことも憎んでるし恨んでるからな」
嫌いだったよ。
お父さんのことも、お父さんにされる行為も。
ずっと大嫌いだった。
「お父さんが…変わろうってしてくれてて嬉しいよ」
「変わりたい……お前に好かれるように…」
ぽつりと呟いた言葉は本心なのだろう。
宗佑は変わりたいと思い、努力もしている。
昔受けた性暴力のせいで歪んだ自身の価値観を、必死に修正しようともがいているのだ。
嫌いだったのに…。
今はそれほどお父さんのことが嫌じゃない。
もっとちゃんと話して、分かり合えたら……普通の親子みたいになれるんじゃないだろうか。
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