新型コロリ外伝

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「はい、宇久来那藩は間もなく降伏いたします。かねてより紛争の地であり要衝でもあった馬踏都も陥落いたします。そして風朕が、『降伏しなければ最終兵器を使用する』と脅します。『その結果は火を見るより明らか。世の破滅となる。その引き金を引くのは他でもない宇久来那藩だ。その覚悟はあるのか』、と」 「なんと、世界を人質に取るのかお主は?」 「さようで。そこで、我が藩が仲介に入り、四村は風朕の藩に併合される和平案を出します。そして裏では、宇久来那藩の復興に莫大な資金援助と技術支援を申し出ます」 「またも、例の手法だな。なるほど。そして宇久来那藩も我が宙華藩が牛耳る?」 「もちろん、風朕も我々に恩を感じます。さらに、諸藩すべても我が藩の偉大な力を知り、もはや鷲鷹藩の地位は暴落、世の警察は我が藩が取って代わるのです」 「そうなるとあとは楽勝、一球一体構想は驀進するのみ!」 「左様でございまする」 「このことはどの藩も気づいてはおらぬか?」 「恐らくは西域の諸藩はどこも気づいてはおらぬかと。特に鷲鷹藩は、武具商人がこの時とばかりに役人に広間活動を展開しており、あと一年、いや数年は戦を続けるようけしかけております。中間選挙とやらもありますので、組織票を餌に丸め込むようでございまする」 「おお、大判小判が舞う様が目に見えるようじゃ。で、あの邪悪で邪魔な邪藩は?」 「存在感を示す好機である筈ですがいかんせん小国。これといった策も持ち合わせておらぬようで、自藩の守りを固めることで手一杯、戦後復興のことなど全く頭にないでございまする」 「方向がズレておるのお。所詮子ネズミ、か」 「残るは院度藩でございます。この藩さえ抑え込めば、我が一球一体構想はほぼ完成となりまする」 「では、少し様子を静観するとしよう」 「ははあ~」
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