新型コロリ外伝

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本日は2022年4月2日。どうしても描きたくなったので、特別追加篇を。 「劉輝よ、誠にぬしは天才じゃのお」 「お言葉、身に余ります。コロリは、一度この世に放ったら、後は自身が変異を繰り返し、自らの力で生き抜くようになっておりまする」 「いやそちらではない。模巣鍬藩の話じゃ」 「我が宙華藩が覇権を握る最終局面に突入させた件でございまするか?」 「よくぞ、ここまで巧妙に模巣鍬藩の風朕をそそのかしたのお」 「かねてより西側諸藩の圧力に不快感を抱いておりました経緯がありましたので、ちょちょいのちょいと」 「恐怖心を煽ったのか?」 「いえ、協力すると」 「それを吞んだのか?」 「はい」 「風朕も焼きが回ったようじゃな。我が宙華藩の協力を得れば、その時点で、模巣鍬藩は我が宙華藩の下になることに気づかなかったのか?」 「そこは、あくまで友好藩としての関係で……」 「言葉巧みな奴じゃのお。思えば、兎乱芙を落選させたのもおぬしの仕業ではないのか? 無害な梅田にして模巣鍬藩が動きやすくした?」 「まさに、左様に動き、宇久来那藩へ侵攻しましたね。そして、予想どおり風朕は孤立しておりまする。もはや我が藩の救いの手がなければ、明日をも知れぬ命。まさに思う壺」 「げに恐ろしき奴よの、おぬしは。しかし、それだけが狙いではないじゃろ」 「はい、これも予想どおり、西側諸藩の商人どもが次々と模巣鍬藩を離れております。その穴埋めに我が藩の商人を流入させる予定でございまする」 「そこまで読んで、事を起こしておるとは、天晴! まるで、何とか言う遊戯の様じゃのお」 「尾背呂でございまするか?」 「そ、それじゃ。どんどん、黒が白に置き換わっていきおる。爽快じゃのお」 「そんなことも分からず、西側諸藩は感情的に動いてくれました」 「正におぬしの読み通り、か。しかし、かのくそ邪藩は砂葉林弐から手を引かんようじゃな。かの藩の商い会会頭は『もう、手を引く、と言ってしまえば気持ちいいかもしれないが、それでは喜ぶ藩が現れる』と我が藩のことを暗に仄めかしおったとか」 「ま、些細な事でございます。概ねは撤退し、後釜に我が藩の息の掛かった者どもに置き換える予定でございまする」 「ここまでうまくいくとはなあ。して、次の手は?」
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