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1 遠い
「先輩ー!もっと遠くっす!」
「ここかー」
「もっと!」
ラクビーの練習で彼は遠くまで走った。そしてここにラグビーボールが飛んできた。
日本代表の選手の彼は仲間とセットプレイを確認していた。そして今日も練習を終えた彼はロッカー室で後輩と話し込んでいた。
「じゃあ。まだその女と話ができないんすか?」
「女とか言うな」
彼の留守の間にお掃除をしてくれるハウスキーパーの女性が気になってしょうがない彼を知っている後輩の坂田は、嬉しそうに練習着を脱いで裸になっていた。
「でもあれっすよね。契約で逢っちゃいけないんでしたっけ」
「お前知ってて言ってるだろう?くそ……」
そんな彼は今日も自宅に戻ってきた。
「ただいま」
誰もいない一人暮らしの部屋に挨拶をして帰ってきた彼は、いつものように洗濯物を脱衣所に置くとリビングにやってきた。
「今日は誰だ……またミイか」
ハウスキーパーは二名が担当しており、彼にはわからないローテーションで部屋にやってきていた。
ミイは初老の女性であり、すみれは若い女性だと室内の防犯カメラで確認済みの彼は、掛かっているハンガーの向きで、どちらが来たのかわかるレベルに達していた。
そんなハンガーはミイが来たことを彼に示していたのだった。こんな彼は今夜はミイの作った食事を食べていた。
「見事に茶色だな……」
煮物や肉料理を頼んであるのでこうなるのは仕方がないので、彼は黙々と食べていった。
室内の監視カメラの画像には今日のミイの仕事の様子が映っているが、初老のミイにはあんまり関心のない彼は、画像を見ずに映画を観て就寝した。
そして翌日。この日はハウスクリーニングを頼んでいない彼は、仲間と食事をし、軽く酔いながら自宅へ帰ってきた。
「あれ?ハンガーが」
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