木の下の娘

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「失礼します。」 木の下に入ると即座に冷気に包まれた。 「遅かったじゃない。 あなたの方が疲れてたんでしょ。」 涼しい顔で言ってのけるソフィア。 よく言えたもんだ。 荷物を「重い!」と言って ノノに全て持たせたのは ソフィアだったはずだ。 呆れながら嫌味を言おうとして ソフィアの方を見ると、 「あ、どうも」 先客がいた。 米俵を背負った15才くらいの少女。 珍しい。 彼女の貧しい身なりからすると 米俵など滅多に手に入らないのに… 「あ、 これは長の家からの贈り物で御祝儀です。 姉が嫁ぎました。」 不審に思ったのが分かったのか 少女は説明してくれた。 それにしても哀れだ。 ノノの故郷のムラでもあったことだが、 どうしても困った時に娘を嫁がせ 御祝儀として米俵をもらう。 貧しいムラによくあることだった。 しんみりとしているノノとは対照的に 朗らかなソフィア 「ねぇ、あなた 水持ってるかしら?」 「あ、はい。」 少女から竹筒を渡されたソフィア。 “ゴクン“ 「あ〜生き返る!」 満足した様子で寝転がる。 「ありがとう。とても助かったわ。 私語り部なの。お礼にお話しでもいかが?」 「はい、お願いします」 「希望とかある?」 「海、見たことがないので海のお話で お願いします!」
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