prologue

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23時。 俺、月下 香(つきした かおる)は、月明かりに照らされながら、重い足を引きずるように帰路に就いていた。 今日も残業で、終電ギリギリだった。 暗い農道に一定の感覚で設置された街灯は、ところどころ点滅していたり明かりが消えていたりと、ただでさえ暗い道を不吉な雰囲気を醸し出していた。 (人がいたとしても、俺と同じ残業終わりの人だけだろう。) そう思っていても、大の大人が身震いしてしまう程、この日は特に不穏な雰囲気を醸し出していた。 その時。 コツ、コツ、コツ、コツ、と、後ろの方から足音が聞こえてきた。 (…なんか、嫌な感じだな。) 俺は男だし、特になにもないはず。
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