2 ライオン獣人(攻)× イタチ獣人(受)

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イタチの獣人であるソミンはまだ日が(のぼ)らないうちから起きだして 昨日、()ねて一晩寝かせた生地(きじ)を取り出し2次発酵(じはっこう)をさせてからオーブンで次々と焼きあげていく。 焼きあがるまでに店を水拭(みずふ)きして床掃除が終わるころには香りのよいパンの匂いが店内に広がっているのだった。 店の窓からみえる外はうっすらと明るくなりはじめるころ、慣れた手つきでパンを並べていき全てを並びおえると外開きのドアにかけてある小さな看板(かんばん)close(クローズ)からopen(オープン)にひっくり返してドア下にストッパーをいれて開いたままにして焼きたてのパンのイイ匂いを店の外まで届ければ後はお客さんを待つだけだ。 ソミンはこの(まち)のパン屋として1人で店を切り盛りしている。 毎朝、出勤(しゅっきん)する獣人さんたちや冒険者さんたちの朝食用として惣菜(そうざい)パンや菓子(かし)パン、サンドウィッチなど数種類あるパンを定休日以外は焼き続けている。 種類も多くて作るのが大変だけれどパンを買って喜こんでくれる顔を見るのが好きで「美味(おい)しかった」と言ってくれるお客さんがいれば頑張れるのであった。 この前店にきた2人組の人間のお客さんはこの街に引っ越してきたばかりらしく周辺のことを聞かれて答えたらベーコンチーズやオニオンブレッドなどたくさんのパンを買ってくれて、2人で住む家が近いと言ってたからお得意様になってくれると嬉しいな。 街の北側(きたがわ)には本格的(ほんかくてき)円形闘技場(えんけいとうぎじょう)まであってお祭りとかがある日は賑やかなのだが街の外は魔物が出るので警備隊が東西南北(とうざいなんぼく)の街の入り口に配置されて(ぼく)たちが()ている間も(まも)ってくれているのであった。 「ふぁああ—-…、はよう。今日も何か適当に10個くらい選んでくれ」 そう言って欠伸(あくび)をしながらパン屋にきたのは警備隊をしているライオンの獣人のセビンさんだ。 警備隊は街の犯罪も取り()まっていて、僕がキメラの獣人に(から)まれてるのを助けてくれたのがセビンさんだった。 彼は僕を家まで送ってくれて店の残り物で申し訳ないのだけれどお礼にパンを何種類か渡したのだった。 そしたら次の日にパンが美味しかったと言って店に来てくれて、その後も出勤前にこうして他の隊員さんの分も含めて買ってくれたりするようになったのだった。 この日も順調にパンを売っていたのだけれど、店の窓から見えたヨロヨロと歩いているブタの獣人のおばあさんは具合が悪そうで… 「大丈夫ですか?少し休んでいきますか」 とソミンは店の外まで出て声をかけたのだった。 「…ハァハァ…すまないが、…ハァ…そうさせてッ、もらうと助かるよ」 と息切れをして苦しそうなおばあさんに手をかして店の中へ連れていき奥の住居部分に案内をして座ってもらい、飲みものを用意して「ゆっくり休んでください」と言うのであった。 閉店の支度をしていると、おばあさんは顔色もよくなって店に出てきたのでソミンは柔らかいパンを3つ選んで「明日の朝食にでも食べてください」と渡せば、おばあさんはパンと休ませてもらったお礼だといって小さなマジックアイテムのガラス(びん)をソミンに置いていったのだった。
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