10.逃げる高梨、追う鈴木

26/26
159人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
ガチャっとドアが開いて、隙間から高梨さんの顔が見えた。 まだ帰ってなかったんかい。 高梨さんは部屋に入る事なく、ギリギリ聞こえる声で言った。 「あ、あの、早く元気になって、そ、その……また遊びに行きましょう……次は2人で」 俺が返事をする前にドアはバタンと閉ざされた。 パタパタと階段を下りる音。 次こそ帰った……って、何今の! 言い逃げ?! でも、可愛い! 高梨さんは逃げるのが上手だ。 捕まえるなんて今の俺じゃ難しいのかもしれない。 でも、それでいい。 上等じゃん。 どこまでも逃げなよ、すぐに追いかけるから。 これからもよろしく。 ね、高梨さん。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!