*好き

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先生が自分と同じ想いだった事に ただただ嬉しかった。 そして 今この瞬間がすごく幸せで… 永遠を感じた。 「もう泣くな。俺が泣かしてるみたいだろ?」 この状況でそんな事言うから 泣いてるのになんだかちょっと笑ってしまった。 「先生が泣かしたんですよ」 「…そうだった」 またクスクスと笑っていると 涙がおさまってきた事にふと気が付いた。 先生もそれに気付いたのか そっと体を離し… 静かに目が合う。 心拍数は上がりっぱなしで 頭の中なんて もうずっと真っ白状態。 『どうしよう』なんて考える時間はなかった。 ただ何を言う訳でもなく 徐々に近付いてくる先生の顔に 自然と目を閉じていた。 ほんの数秒交わした唇。 離れてから実感した。 先生との、キス…。 その恥ずかしさに 先生と目が合わせられない。 「いきなり悪い。…イヤ、だったか…?」 恐る恐る謝る先生に あたしはすぐさま首を横に振った。 「謝らないでください!嬉しかったんです。夢みたいな出来事ばかりで…まだ信じられないくらいなんです」 「咲桜ちゃんは、本当可愛いな」 「え!?」 唐突に何を言い出すの!? 今この状況で 心臓保たないですって。
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