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◇
楓の胸元に半ば無理矢理付けたネックレス見て心ん中でほくそ笑む。
何でこんな嬉しいんだろうね、自分がプレゼントしたものを付けさせた位で。
今日は本当に、最高に楽しい。
感謝してますよ、こんな幸せな時間をくれる楓に。
だからね?
そんな意味も込めて送ったネックレスなんだけど。
正直、何をプレゼントしたら良いかが中々決まらなかったんだよね…。
『プレゼントを最後に渡して、楓が驚く顔見てやろう』って思ったのは、恋人席で食事しようって決まったあの時なんだけど。じゃあ、何にする?って所が中々。
指輪も考えたけど、スマホで色々検索してたら出て来たアクセサリーそれぞれにある『意味』。
それを見た瞬間、『うん…ネックレスかな』って苦笑い。
まあ…指輪は楓がもっと俺の事好きになってくれたらにしときます。
なんて、自分の思考に、「本当に昔っから変わらない」って思った。
2年前。
楓の真剣な横顔を「綺麗だ」と思って以来、ずっと同じ。
『楓を振り向かせたい』って想い。
それがあまりにも強すぎて、自分で何なのかが分からなかった。
でも、自覚してる今は…以前より頑張らないとって思ってる。
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カフェの外に出たら、少し後ろを歩く楓の左手を指を絡めて握ったら握り直してくれる楓。
遠慮がちに微笑んでくれるその表情とどこまでも透き通ってる青空に気持ちが晴れ渡って。
…良かった。楓と居られて。
何て、シミジミ思ったけど、同時に少しだけ生まれる迷いの念
…俺の『企み』、ちゃんと明かさないとかな、これ。
心が揺れて思わず立ち止まった時計塔の裏手。俺が振り返ったことで、きょとんと首を傾げる楓を思わず抱き寄せた。
このまま秘密にしてても許されるかな…。
「楓…もう『約束』は終わり?」
首筋に顔を埋めてそう呟いたら「え…?」って戸惑いの声が微かに耳に届いた。
「や、今日、ランチしちゃったでしょ?」
俺のやる気を継続させるためにしてくれてた『一日三回のキス』
毎回、瞳を潤ませて、すごい真剣な眼差しを俺に向けてくれてしてくれる、触れるだけのキス。
…かなり幸せだった。
気持ちがさ、これでもかって位満たされんだよ、その一瞬に。
思い出してたら「悠…」って遠慮がちに呼ばれてすこしだけ押された胸元。
掌で頬が覆われて、向けられた真剣な眼差しに捉えられて動けなくなった俺の唇に、楓の唇が触れた。
「…予約、取ってくれてありがとう。それからネックレスも。
その…大…好きです。」
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