4冊目 黒色の過去

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「ねえ、そっちのクラスに××中出身の人っている?」  私はさっきの会話で不思議に思ったことをさーちゃんに尋ねてみる。 「××中かぁ……多分いないかな。でも、どうして急に?」  私が普段、絶対にしないであろう質問にさーちゃんは少し驚いた顔を見せる。  確かに、何の説明もなくいきなり聞かれると誰でも驚いてしまうか。 「今日、海川くんといろいろ話してたんだけど……海川くんが自分の昔のことを全然話してくれないから『何中出身?』って聞いたら『××中出身』って言われたの」 「海川君って××中だったんだ。自己紹介の時も何も言ってなかったから知らなかった」  やっぱりそうなんだ。  彼は、自分の話をするのがあまり好きではないのだろうか。  彼が嫌なら私は無理強いするつもりは全くない。  でもやっぱり……ちょっとくらいは気になるなぁ。 「そういや、海川君の自己紹介ってどんなのだったの?」  その頃はまだ海川くんのことを知らなかったし、怖かったから、あまりあの頃の海川くんについては知らない。  でも本当は本好きなのに、いろいろな本が好きすぎるあまり、 『好きな本はありません』  と言ってしまったくらいなのだからきっと個性的な自己紹介をしたのだろう。  今思い出すと、くすりと笑ってしまいそうな自己紹介だ。  まさか好きな本が多すぎて『好きな本はありません』と答えてしまうなんて……。
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