6章 I am worthy of you

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 「おー、千花。でっかい荷物持ってるやん」  けいちゃんを運んでいると、委員長にばったり遭遇した。ニヤニヤしながら近づいてくるのが本当に不快だ。  「重いから、代わってよ。」  「いや、お姫様に背負われてる副会長さんが面白すぎるからそんままでええやん」  委員長は、そう愉快そうに笑ってパシャパシャと写真を撮った。誰が姫だ。けいちゃんを背負っているせいで委員長を止めることもできず、歯痒い思いをする。  もう、この人のことは、気にしないでおこう。そう思って、その場を去ろうとしたときだった。  「わ!お前ら久しぶりだな!!!」  そこに現れたのは、全ての元凶、顔を見るだけで全身が痒くなる相手、転入生が立っていた。  俺が大っ嫌いな転入生は、生徒会の書記と庶務たちを引き連れて、消灯時間が過ぎていることをなんも悪びれなく現れた。  「なんで?啓人が背負われてんだ??具合でも悪いのか?」  彼はそう心配そうに言った。いや、お前らのせいだろ。けいちゃんが僕の背中で寝ているのを見て、生徒会のメンバーは気まずそうに目をそらす。お前らがけいちゃんをこんなふうにしたくせに____。あいつらがそんな態度をとってくることが俺は我慢できなかった。  しかし、僕が前に出ようとしたのを委員長は腕を掴んで制した。  「君らさぁ、消灯時間過ぎてるってわかってるん?やのにノコノコ顔出してくるなんてよっぽど舐められてるんやなぁ、俺ら。」  委員長がチクチクと刺すように言い放つ。我らが委員長は非常に怒っているようだ。空気が張り詰めたようにピリピリして痛かった。  「というか、他の生徒会の人たちは役職ついてるってゆう自覚あんのか?仕事もなんもせんくせにルールも守れへんなんて、そろそろ君たちやばいと思った方がええで?」  転入生の後ろにいた3人は気まずそうに目を逸らす。かろうじて、けいちゃんに全て投げた罪悪感はあるようだ。……まじでこいつら腹立つんだけど。僕は彼らの態度も含めて余計に苛ついてしまった。  「こいつらを責めるなよ!!…俺が忘れ物しちゃって取りに行ってもらうのについてきてもらっただけなんだ!怒るなら俺を怒れ!」  転入生は、委員長に生徒会のメンバーが責められるのが我慢ならないといった様子で前に出た。生徒会のメンバーは、そんな転入生の姿を見て感動したように目を輝かせていた。僕からしたら全て茶番に見えて、反吐が出るのだけれど。  「…ユズは悪くない。俺らが勝手についてきた。」  「「ユズを責めないで!!」」  まるで、僕たちは被害者であるといったような彼らの姿勢に僕はイライラが最高潮に達した。あと一歩遅ければマリモ頭に殴りかかっていたかもしれない。_______だが、僕よりももっとキレやすい人が隣にいたおかげで、僕の出番は無くなった。  ガンッ  鈍い音が廊下に響く。それは、委員長が壁を思いっきり殴った音だった。 「お前ら、ゴチャゴチャうるさいねん。全員俺の粛清対象やボケェ。」
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