第1章 部長は援交してるのか?

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第1章 部長は援交してるのか?

「部長、今日は ありがとうございました、また明日 宜しくお願いします。」 「ああ、片瀬君 頑張れよ、君は稀に見るセンスの持ち主だし、期待してるぞ。」 俺は快活にアフターファイブに呑みに連れてって貰った上司にお礼を言って別れを告げた。 大崎部長は顔は怖いが……部下の面倒見が良い事で定評がある。 俺は仕事面でも、プライベートの相談も気軽に出来る この上司の存在に感謝している。 そんな時に……俺は目撃して聞いてしまったのだ。 …………………………………… 「パパ……いつも ありがとう、ゴメンね、今夜も 付き合わせて…… 」 んっ? 大崎部長って……娘さんが居たんだっけかな? 「梨花……ちゃんと勉強してるのか? パパは心配だよ。 それに、こんな時間に繁華街に出て来たりして……大丈夫なのか?」 「それなら大丈夫だよ……パパは強面だから、大概の大人は避けて通って行くでしょ?」 そう言われてみれば、どうも人の流れが そう成っているようだ。 あながち 梨花という制服を着た女子の言う事に間違いは無かった。 「梨花、これは小遣いだ、取っとけ!」 「えっ、要らないよ、この前貰ったのが まだ有るから。」 「そうか……でも こういうのは貰っとくもんだぞ……。 それで今日も良いのか? 付き合って貰って?」 「うん、だって そういう契約でしょ、私達って… 」 「まあ……そうだけど。」 「もうパパったら水臭いんだから。 私達は他人の関係じゃ無いんだし…… 」 …………………………… 部下の俺が ここまで聞いた内容で、推測されるのは…… ①大崎部長と このセーラー服を着た娘は援交してる。 ②もし、援交じゃ無かったら、前妻との子供だろう。 ③他人の関係じゃ無いって事は、血の繋がりが無ければ……身体の関係って事なんだろう。(それって、やっぱり援交……?) 俺の邪推ならば良いんだが…… 明日から 俺の大崎部長を見る目は変わるだろう。 だって未成年と援交ってヤバいから。 俺は、イケないと思いながら探偵さながらに 二人の後を付けて行った。 すると二人は、臆面もなく 手を繋いでラブホに入って行った。 やっぱりな! 二人は そういう関係なのだろう。 まあ上司に娘みたいな愛人が居ても、俺には何も言う事は出来ないが……。 それだけ日本は平和で自由な国って事なんだろう。 「ちぇっ!」 俺は少し舌打ちしながら、その場を立ち去った。 ………………………………… 「梨花、良かったのか? 制服着たままラブホじゃあ……完全に援交だろ?」 「良いのよ……着替えるのが面倒だったから。 それより早く済ませて。」 梨花は高校生のクセに腰痛持ちだ。 こんな時に通信教育で取った整体指導員のライセンスが役に立つとはな……。 「ああパパ……そこ気持ち良いわ。最高。」 「おいおい、勘違いされるようなリアクションは……!」 「パパが整体の心得がある人で良かったわ。 私、赤の他人に身体を触られるのはイヤなのよ。」 「それは何より……梨花が お堅い娘で良かったよ。」 「それは どうだかね~♪ 案外イケイケかもよ♪」 「それは無いね。 梨花はママに似て賢いからさ。」 「ああ、言い当てられちゃったね。 何だか そういうのが邪魔して悪い娘には成れないのよね。」 「ハハハ……まあ お手柔らかに頼むよ。」 俺に与えられた娘との会瀬の時間…… 一月に一度は娘と会う事が出来るっていう調停だ。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 俺は次の日も、また次の日も、あの事に関する質問をするキッカケが掴めなかった。 そして、また大崎部長とアフターファイブを共にする事になる。 「片瀬君、じゃあ またな。」 「はい、ご馳走さまでした。」 また聞けなかった。 俺の興味は部長の行動に釘付けで…… また彼の尾行をする事になる。
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