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バイトと学校、次の日は休んだ。
顔に絆創膏貼る日が来るとは思わなかった。
幼い時分、転ぶときに手を使わず二針縫って以来だ。
弁慶の泣きどころは両方あざだらけで、うっすら青みがかっている。
これが、ど紫になり、青に移り、黄色くなってからようやく消える。
いったい、あたしがなにをしたというのか。
神様というものがあるなら、何故こんな目に遭わせる?
携帯は電源を切らしたまま。
アパートを、顔を覚えられた可能性が怖い。
水を飲むのにも手が震える。
さあ、あたしは部屋を出ることが出来るのか?
こうして、布団の上で寝ているだけで、からだの細胞は持ち主と違って懸命に働いている。
ふと、台所に目が行った。
引き出しを開けたい衝動に駆られる。
でも駄目だ、と思い直す。
暗闇をぎらつかせる刃物の正体。
それはあたし自身でもあり、彼らでもある。
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