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「だってお前、前回の依頼で俺にツチノコを捕まえさせようとしたけど、正体はただの太ったマムシだったじゃねえか」
恭はなおも無表情で与一をぐいぐいと玄関に追いやった。
「こ、今度こそ大丈夫だよ! 聞いてくれ! 梅小路公園に猫又が一匹出たらしいんだ!」
「……猫又が?」
恭はピタリと動きを止める。与一の口元に勝ち誇った笑みが広がった。
「喰いついたな。よし。今夜一緒に現地視察に行くぞ」
こうして、二人の若き陰陽師はまた新たな怪異に挑むことになったのである。
現代を生きる転狐、恭の挑戦はまだまだ始まったばかりであった――。
(おわり)
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