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「マノン。川上三尉」
無線から高井一尉の声が聴こえる。
「はい、一尉」
「……ごめん、こんな事をさせる為に君を選んだんじゃなかったんだけど……」
「いえ、私を選んでくれてありがとうございます。大丈夫です、絶対成功させます」
「マノン、愛莉……。もし二人とも生き残れたら……、本当の事を言うよ……。君を僚機に選んだ……」
「えっ? それはどう言う……?」
高井一尉はそれには答えなかった。
「いいか、マノン! 海面ギリギリでの作戦だ。トマホークに接触して、機体の異常を感じたら、直ぐに緊急脱出するんだ! 幸運を!」
その瞬間、HMDSに映る右前方の高井一尉の機体がトマホークに接触するのが見えた。そして彼の機体がレーダーから消えた。
私も意を決して熱核爆弾を抱いたトマホークと距離を詰め、上方から機体をトマホークにぶつけた。
物凄い衝撃と同時に、HMDS内に複数の警告表示が現れ、激しい警告音と共に機体制御が失われた。
私はラダーペダルに載せていた両爪先を足元に引くと、両膝の間の赤いレバーを思い切り引いた。
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