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教室の窓際の席、お昼の休憩時間、なんだかいい匂いのする彼は、
「はいはい、ここに座るよ」
そう、私の前の席に座ると、後ろを振り向き、机の上にポーチを出した。
それから、私の鼻のてっぺんにあるニキビに、薬を塗りながら、
「少し小さくなったんじゃん??」
そう、聞いてくる。
「うん、君のおかげ」
「だろ、やっぱりこれ効果あるだろ」
と、自分のニキビが治ったという薬を、私に優しく塗ってくれる。
肌の調子もいいし、嫌だった鼻のてっぺんのニキビに、今はありがとうって言いたい。
だって、このニキビがなかったら、こうやって君に薬を塗ってもらうことも、なかったから。
高校に入学してすぐ、同じクラスで一目惚れだった。
いつも見ていた横顔。なかなか話しかける事が出来なくて、なんと話しかけようかと、よく考えてた。
休憩中に、鏡を出して、ほっぺにできたニキビに薬を塗ってる姿も、なんだかかっこいいと思ってしまう私は、君にぞっこんだ。
クラスでも人気があった君は、明るくて、ムードメーカー的な存在で。
ずっと見ているうちに、日に日にニキビが無くなっていく肌が羨ましくて、ニキビで悩んでいた私は、思わずどうしてなのか聞いたよね。
あの時、本当に勇気を出して聞いて良かったって、おもってる。話せるきっかけが出来てよかったって。
ニキビ仲間って言いながら、肌の悩みをきいてくれたり、優しくしてくれて、スキンケアなんか教えてくれた。
「最近肌の治安も良くなってきてるんじゃん??」
「本当、感謝してます」
「本当、俺のおかげだな」
ニカッと笑う彼。
「これからもっと、キレイになる予定だから」
なんて私が言うと、
「任せとけ、ニキビが出来たら俺がやっつけてやるから!! 」
頼もしい君は、まだ友達だけど、今はこの距離が1番心地いい。
「俺にも塗ってくれー」
目を閉じて、顔をこっちに近づけてくる彼は、警戒心などない。ほっぺたにぽつんとニキビがある。
「手強いニキビだね、でも、どんどんちいさくなってきてるー、私のおかげ??」
「はいはい、そうですそうです」
呆れたように言う君は、私が優しく塗って終わったあと、少し微笑んだ。
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