男の幸せラブコメ大作戦

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男の幸せラブコメ大作戦

「10年後の幸せラブコメ大作戦。それにお前も参加しないか?」 ワンダーフォーゲル部元部長、彼女いない歴と年齢が等しい友人の提案だった。 「興味がないと言えば嘘になる。詳しく教えて欲しい」 俺も彼女いない歴は年齢に等しい、寂しい青春を送った仲間だ。 彼は事細かに計画を話してくれた。 「俺たちと似た境遇の奴を既に集めている。いける、いけるぞ、これは!」 「アパートの共同経営、家賃収入を得て、大家として女の子とあんなことやこんなことをすると」 「ば、ばか! そんな直接的な表現はお控えください! ま、まずは言葉を交わすところからだ」 「・・・悪くないな」 参加資格のあるやつは多少の貯金を持ち、継続的な収入が見込める人間。それがどうやら俺らしい。 共同出資であるが、権利はしっかり分けるようだし、最悪そこに住むことも可能だ。 「やはり女性向けとなると、ペットは可能にすべきだろうか?」 「馬鹿野郎! 女はペットを飼うと男に見向きもせんわ! 寂しさを埋めるために俺たちがいる、そうだろ?」 「あ、ああ。俺が悪かった・・・。何か希望はあるか?」 これだからモテない男は困る。どうやらこの計画、俺が主導しないといけないらしい。 「ロフトはつけたい。あれは浪漫だ」 「ロフトというと、屋根裏のようなものか?」 「そうだ」 「馬鹿野郎! ロフトがあると、お泊りした時に男はロフトで寝ろと言われてしまうだろう」 彼の指摘はもっともだった。どうやらモテないのは俺も同じだったらしい。 その後、綿密に計画を立てアパートは完成した。 しかし俺は丁度借家を追い出されてしまい、ここに住むことにした。新築は最高だ。 10年が経ち、ローンの返済を終えた俺たちは遂に幸せラブコメ大作戦を開始することになる。 はずだった。 「なんだと!? 出資者が全員アパートに住んでいるから男しか生息していないだと!?」 「ば、ばかな・・・。計画はとん挫した・・・」 「いや、そんなことはない。幸せラブコメ大作戦改をここに立案する!」 「俺たち、その頃には45過ぎてます」 ここに涙のラブコメ大失敗が成立したのだった。
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