シベリアンハスキー

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自虐ついでに顎を指差し茂木に見せてやる。 こうなりゃとことん傷付いてやる。 何がキレイになったよ。 適当な事抜かすな! 人のことからかって楽しいか。 指先の吹き出物をじっと見つめると、茂木はニッと嬉しそうに笑った。 人の不幸、そんなに嬉しいか、嫌なヤツ。 でも、返ってきた言葉は意外なものだった。 「悪い。それ、俺のせいかも」 「は?」 俺のせい? 何だよ、俺のせいって。 呪いでも掛けたか? 私に吹き出物できろって!? 何その呪い。 随分と小さい呪いだな。 でも茂木ならやりかねない。 「ほら、ここのって妹が言ってたけど」 茂木が自分の顎を指す。 「『想われニキビ』って言うんだろ?」 想われニキビ……。 口の中で呟く。
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