シベリアンハスキー

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『つい想い過ぎた』 頭の中で何度も繰り返される。 それって……。 『好き』って、茂木の言う好きって、それってつまり好きって事!? 頭の中は大混乱で、次の言葉がなかなか出ない。 「でもさ、俺の一言がきっかけでお前キレイになったんなら、なんかそれって嬉しいな」 シベリアンハスキーが片方の口角を上げてにかっと笑った。 その目が優しいと気付く。 漸く声が出たのに、喉につかえる。 「それって……え?つまり茂木って私の事……」「茂木いー!」 震える私の声を片谷くんの声が遮った。 「あー、俺もう行かないと。じゃあなまた後でな。米焦がすなよ」 くしゃっと私の頭を撫でて駆けていく。 それを私は放心状態で目で追った。 『お前の事……好きだから、つい想い過ぎた』 『俺の一言がきっかけでお前キレイになったのって、なんか嬉しいな』 頭の中で繰り返されるイケメンボイス。 『お前の事』 『俺の一言がきっかけで』 『好きだから』 『お前キレイになったのって』 『想い過ぎた』 『嬉しいな』 ……っ!!
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