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12月25日
私が小6の時、父方の祖母が亡くなった。
クリスマスの朝の事だった。
一旦、仕事へ出掛けた父も直ぐに戻ってきて慌ただしく用意をすると、
父の実家のある香川県へと向かった。
新大阪から岡山へ向かう新幹線の中、私はとても機嫌が悪かった。
と言うのも、今夜食べる筈だった特大のホールケーキをお隣さんに母が勝手にあげてしまったからだ。
「いつまで拗ねてるの。」
「拗ねてへんもん。」
と母に言いながらも、めちゃくちゃ拗ねていた私。
けれど、朝からバタバタしていたせいもあり、新幹線の走行音に釣られ私は次第にうとうとし始めた。
なのに、瞼がとろりと落ちようとすると何故か、ドキッとして眠れなかった。
ずっと、その繰り返し。
私は初めて、人が死ぬという事。
身近な人が死んだと言うことに言い様のない不安を覚えていた。
このまま眠っては自分も死んでしまう様な気がして、凄く怖かった。
新大阪から岡山方面にかけてトンネルが多いのも尚更、死の世界へと行ってしまう様な気がして、怖がりの私の不安をさらに駆り立てた。
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