2015人が本棚に入れています
本棚に追加
/169ページ
ホテルのエントランスをくぐり、挨拶をしてくれたベルボーイに会釈をすると、エレベーターに乗り込んで、15階のボタンを押した。
受付開始まであと10分。15階のフロアに着くと、とりあえず、と、トイレに立ち寄り、軽く化粧直しをすることにした。
(・・・あ、混んでる・・・)
パウダールームには、多分、同じパーティに参加するであろう美しく着飾った女子たちが、熱心に化粧や髪を直していた。
色々な種類の華やかな香りが、パウダールームに漂っている。
(・・・かわいい。きれい。ほんとにみんな、28歳から35歳?)
鏡に映った自分を見つめる。老けてはいないと思うけど、多分私は年相応。
きつめの顔立ちなのは一応自覚してるから、なるべく柔らかく見えるように、と、淡い色を使ってメークをしてきた。
焦げ茶色のセミロングの髪の毛も、ゆるふわに見えるように、と、裾だけ巻いてきたけれど、やっぱり、きつめの印象は拭いきれない感じもあった。
紺色の半袖ワンピースは、この間買ったばかりだし、シルエットは流行りのものだけど、色味がやっぱり地味だったかも、とここにきて後悔してしまう。
(惨敗の予感・・・)
みんな、私よりも年下に見える。そして、かわいくて綺麗に見える。
参加意欲はあるものの、失恋直後で、ただでさえ自信は喪失気味だった。
(帰りたい・・・けど、ここまで来たら・・・)
また、傷つくことはもちろん怖い。
だけどもし、うまくいかなかったとしても、萌花たちが言うように、婚活スキルだけはきっと少しは上がるはず・・・。
(・・・がんばろ)
赤いリップを塗り直し、華やかな色彩で自分の気持ちを奮い立たせた。
そして気合いを入れ直し、私は、パーティ会場であるバンケットホールへと息を整えながら歩いて行った。
最初のコメントを投稿しよう!