横浜山手の宝石魔術師Ⅱ

隣の芝生は青くて大変

いつも横浜ばかりになるので、銀座でウィンドーショッピングをして夜はホテルで食事というコースを提案し、アレクの運転する車で銀座の並木通りで下ろしてもらい三越方面に歩いているが銀座の大通りは歩行者天国で多くの人がいる。

冬真は薄手のロングコートを羽織っていて割とカジュアルな姿なのだが上品さがそれでも溢れていて、横にいる朱音は周囲から聞こえる、どこかの俳優さんかしら、モデルかしらといういつもの声に俯いてしまう。

冬真はそんな朱音に可愛い顔を見せて欲しいと何度も言いながら朱音がうろたえる姿に目を細める。
手を繋いだままデパートに入り笑顔で『どういう服が欲しいですか』と聞いてくるので朱音はもう服は結構ですと返せば、冬真は笑顔から寂しげな表情をわかりやすくしてくるため朱音は必死に、何か皆で食べられるお菓子でもと提案すれば冬真は笑って応じた。

せっかく老舗デパートにいるので冬真が宝石のフロアを覗きたいということから朱音と行けば、店員達は婚約指輪か結婚指輪を買いに来たカップルだと判断し、二人がショーケースに近寄った途端声をかけてきた。