野獣おじさんは枯れていなかった

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「俺はもう若くないから諦めるつもりだったのに、君が誘ったのだから諦める必要はないだろう?」  他の女子社員みたいに相手にされないと思っていた。独身最後の砦は難攻不落って言うか、不可侵だと思ってた。いや、若くないとか冗談でしょう。 「まずは指輪を見に行くか? それからご両親への挨拶と、新居と式と……忙しくなるが、俺に任せてくれればいい」  急展開、だけど、本気で考えてくれてるってわかる。頼れる上司は私生活でも頼れる?  最近、涙脆くなったのは歳だと思ってたけど、本当に泣きそう。 「それから――」  まだ何かあるっけ? と首を傾げる。誠一郎さんは顔を寄せてきて…… 「――今後はいつでも君を求めていいんだろう?」  一気に顔に熱が集まって爆発した気がした。言葉が出てこなくて、あわあわする私の唇はすぐに塞がれた。  どうやら私は寝てたライオンを起こしてしまったらしい。これから始まるらしい結婚生活が楽しみでもあり、体が心配でもあったりする。  いや、本当に保つかな、私の体。
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