東北遠征

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最上義光降伏!戸沢盛安降伏!相馬義胤降伏! 三人の大名の降伏を聞いて南部、伊達の首脳陣に激震が走る。 更に降伏した三人は好待遇で只野家に迎え入れられた事を伊達と南部家の領内に噂として流れる。 この流言には新たに迎えた風魔小太郎の忍衆が活躍してくれた。 南部晴政がドスドスと伊達輝宗に詰め寄る。 「伊達殿、ちと不味い事になったのう」 「ええ、南部殿。確かに不味いですね」 二人が危惧して居るのは、自分の配下から只野家に鞍替えする者が現れないかだ。 下級の武士ならまだしも、上級の家老級等が万が一でも只野家に降れば此方の軍事情報が丸見えになってしまう。 只野家と争って居る今は直ぐに軍事の方針を変える訳にはいかなかった。 「当分は此方の戦力を回復しつつ家臣達を引き締めるか」 「では此方もそのようにしましょう」 伊達はともかく、南部には心配の種が一つあった。 重臣の石川高信の子を養子にした事だ。最初は養子にして自分の跡継ぎにと考えて居たが、石川高信の子を養子にした後に南部家に子が産まれた。 しかも男子である。 やはり家を継ぐには自分の子に継いで貰いたい。その空気が自然と南部家に流れて現在、石川高信との微妙な距離が出来て居た。 この時に石川高信の子で養子の南部信直は身を隠したと聞いて居る。 話は戻って安東愛季の領地に攻める話に戻る。 安東領の進軍は一見は順調に進むかと思ったが… 「ちくしょう此処もか」 仁が見つめる先には畑を焼かれ家を焼かれて途方にくれる安東領の民達が居る。 「焦土作戦か、安東愛季よ…確かに有効だぞ。この作戦は…俺に此処まで怒りを募らせるとはな!吉継!」 「はっ!既に江戸より物資の搬送をして居ます民達の為に炊き出し、及び新たな家屋の建設を兵士達を通じてやっております!」 さすが大谷吉継、俺の気持ちを理解して居る。 安東愛季の焦土作戦によって只野軍の進軍は暫し鈍る事になる。 創造の能力をポンポン使えたらなぁ。 兵達は武将達が見てる目の前で使う訳には行かないしなぁ… 本当に安東愛季はやってくれるよ! 神速の行軍を誇る只野軍は安東愛季の籠る城に迫るまで三ヶ月の時間を要したが、既にその頃には安東愛季は兵の大半と城の財、及び物資の大半を持って己の領地を捨てて南部家に身を寄せたそうな。 残ったのは途方にくれる民達、只野軍は再び時間を費やして元安東領の立て直しに時間を掛ける事になる。 それから更に三ヶ月の時間を掛けて元安東領をある程度、立て直す事に成功した。 現在は元、安東愛季の城で評定を行って居る。 議題は先に南部を攻めるか、伊達を攻めるかだ。 俺個人としては、先に南部を攻めてぐるりと伊達領を包囲して降伏に持ち込みたい。 此処に来るまでにかなりの物資を使ったしな。 しかし伊達の米沢城を先に抑えてしまうのもアリちゃあアリ何だよな。 俺は軍事会議を黙って聞いて居た。 会議の場はお互いの主張を出し合うだけになって居る。 「南部を取る。安東愛季に借りを返さねばな」 俺は獰猛な笑みを浮かべる。 焦土作戦で途方にくれる民達の顔を浮かべる。 あんな真似は二度とさせたく無いからな。 家臣一同も俺の言葉に「はっ!」と言って頭を下げた。 よし、南部攻めだな俺は明智光秀を呼ぶ。 「殿、何か御用で?」 「ああ、南部家の家臣石川高信を調略してくれ」 「しかし、石川高信は重臣ですぞ?」 「南部信直を南部家の新たな当主に立てると言えば此方に味方する筈だ」 「成る程、分かりました」 そう言って光秀は部屋から退出した。 そして光秀の調略は上手く言った。石川高信から機を見て此方に協力するとの約束を貰ったからだ。 よし、此れで南部家を攻め落とせる。 一週間後、兵達に充分な休息を与えた後に只野軍は南部家攻略に乗り出す。 進軍は破竹の如く、次々に南部の城を攻め落とす。大半は攻め寄せると降伏するか、城を捨てて逃げるかの二択だったが、たまに抵抗する城が現れると大砲で城をフルボッコにして強引に攻略した。 そして南部晴政が籠る城まで兵を進めた。南部晴政は伊達の援軍を期待して籠城の構えだ。 確かに伊達の援軍は来たが鉄砲の一斉射撃でお帰りをして貰った。 そして此処で石川高信が動く、南部晴政の籠る城に火を放ち更に城の城門を開ける。そこに流れ込む只野軍! 「目的は南部晴政だ!」 俺も先頭に立ち青龍偃月刀を振り回す。 立ち塞がる南部兵を文字通り粉砕して回ると俺に声を掛ける人物が現れる。 「その青い外套姿に、手に持つは青龍偃月刀。只野仁様ですね?」 「そう言う貴殿は石川高信殿か?」 「はっ、左様でございます」 「この度の助力感謝する。南部晴政の所へ案内してくれるか?」 すると石川高信は頷いて此方へと言って来る。 俺は石川高信の案内の元に南部晴政の元へと向かった。 南部晴政の私室の前に来ると石川高信が襖を勢い良く開けた。 そこには鎧兜のフル装備で座る南部晴政。 「よもや高信が裏切るとはのぅ」 いやに落ち着いて南部晴政は答える。 「晴政様、此れも世の習いでございます」 平然と答える石川高信。 「南部殿、貴殿には降伏か名誉ある死か二つの選択肢が有る。南部家の跡取りは南部信直殿になって貰うがね」 俺が南部晴政に言う。 「そうか、高信が裏切ったのは己の子を南部家に継がせる為か」 「左様です」 其処で南部晴政は刀を抜いて石川高信に斬りかかろうとする所を、俺の青龍偃月刀が抑える。 「南部はくれてやる。しかし儂は只では死なん!」 一度、晴政は離れて列泊の気合いの元に俺へと斬りかかる! 俺は青龍偃月刀をくるりと回して石突きで晴政の刀を激しく打ち据えて更に青龍偃月刀の刃で晴政の身体を袈裟斬りにする。 「見事な腕だ…只野殿、お見事」 ケプッと口から血を流す晴政。 「介錯は居るか?」 「お頼みもうす」 俺は青龍偃月刀を南部晴政の首に振り下ろす。 「遺体は丁重に埋葬しろ。首を晒す事は許さん」 「はっ」 側に居た真柄直澄が丁寧に南部晴政の遺体を布でくるんで運び出す。 「石川殿、約束通りに南部信直殿に南部家を継いで貰う」 「はっ、有り難き幸せ」 「後は伊達だな」 残る東北連合は伊達のみとなった。 南部家の後始末の為に只野軍は一ヶ月の間、南部領を駆け回った。 此れで伊達領を全包囲する準備は整った。 後は兵の数の差で力押しでも充分に行けるが伊達はどう出るかな? とりあえず降伏の使者を送ろうか。 使者を送ったが降伏は断られた。 うむ、領地の召し上げに銭侍になる事に抵抗が有るようだ。 家臣達からも猛烈に反対されたようだな。 ならば進軍するか。 伊達の城を一つ一つ丁寧に落として行く。 流石は後に奥州で覇を唱える伊達家、きっちりと一つ一つの城が抵抗して来る。 俺達は大砲と迫撃砲に鉄砲を駆使して次々に城を落とす。 そして此処で城攻めに新たに作った手榴弾が役にたった。 城壁まで盾を構えて突撃して、手榴弾のピンを抜いて投げ込めば其処は大惨事になる。 小型で取り回しも良く兵達も使い勝手の良さに満足して居るようだ。 だが、この手榴弾… 他家には流せ無いよなぁ。 秘匿して日本以外の地を攻める時に使わせるか。 九鬼澄隆が俺の作った海図を使ってハワイの地を中継地点として利用して居る。現地の民とも良好な関係を築いて居るようだ。 九鬼嘉隆も台湾にフィリピンの地を手に入れて移住や新たな船団を作ったりして居る。 次はインドネシアだろうな。 俺の考案した新しい船を次々と建造して諸外国の船団相手に海賊行為も俺は容認している。 新しい船はあれだ。コルベット艦だ。それに新型の大砲や迫撃砲を積んで居るので今の所は連戦連勝との報告が来ている。 インドネシアから諸外国を叩き出したらオーストラリアの地に向かわせる予定だ。 植民地解放万歳、新大陸の発見は只野家だ。実際に諸外国の奴隷制度はどうかと思う。現地の人間を奴隷として連れて帰り売り捌くのだからな。 日本も多くの民達が奴隷として連れて行かれて居るので最初は九鬼嘉隆の海軍が大暴れをして次々に奴隷を乗せた船を拿捕している。 奴隷になりかけた民達は只野家の領に移住して貰って居る。 お掛けで現在、まともに貿易してるのは明だけの状況となった。 話を戻そう。 東北を完全に手中に収めたら次は蝦夷の本格的な開発だ。 その前に織田家が臣従を迫って来るだろう。 俺は織田信長に天下を取らせたい。 その時は伊勢の地に大和の地等が削られるだろう。故に他の大陸や島を抑えて開発して力を付けないとな。 まあ、信長は家臣達から俺を関東に押し込めろと言われて居るだろうなぁ。 さて、伊達の領地だが全包囲でじわじわと領地を削って居る。 さて、米沢城が目と鼻の先に写った時に、漸く伊達から最上を通して降伏の使者が訪れる。 様々な条件を付けて来たので米沢城を囲んで一斉射撃を連日、大砲と共に撃ち込んだら今度は無条件降伏を言って来たので俺はそれを受け入れた。 伊達一族と家臣達は江戸に移り住んで貰う。残った豪族達を黙らせないとね。 梵天丸と言う後の伊達政宗君が俺の人質となったが、俺は人質は取らない主義なので小姓として扱う事で話は一段落した。 「よし、頼んだぞ」 俺は蝦夷の開発に元北条の一団を送り込む事にした。 北条家ならば上手くやってくれるだろう。 こうして俺の東北征伐は終わり後は外国の領地を攻めるのと蝦夷の開発に乗り出す事にした。 出来れば樺太まで行って、その地を要塞化したいがね。 まあ、時間はあるし少しずつやるか。
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