わたしがキレイでいたいのは

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メイクとは、どうしてこんなに面倒臭いのだろう。 鏡の前で、毎朝わたしが思うことだ。 そもそも、メイクは大人の女性の義務です!って、誰が決めたんだその義務。大体、高校までは「学生の本分は勉強!メイクなんかまだ早い!」とか何とか言ってた同じ口で、矛盾の極みみたいなこと言いやがって。 そもそもわたしは面倒臭いのが嫌いなので、15分とか20分とか、時間取られるの、マジでストレス溜まる。眠いし。 それでもわたしがメイクをするのは、もちろんしないと世間がうるさいからというのも1つではあるが、ひとえに彼氏のためである。 わたしの彼氏は、別段イケメンではないが、性格は良い。わたしが中学生の頃の部活の後輩なので、そこから今までかれこれ10年、恋人としては5年。まあまあ長い付き合いだ。 当然ながらわたしのスッピンも当たり前に知っていて、しかしお世辞にも美人ではないわたしの顔がタイプだと告白してきた彼の素直さを、わたしは好ましく思う。 さて、何故スッピンを知ってる彼氏のためにメイクをがんばるかと言えば、ある日のデートで彼がこう言ったからである。 「最近、キレイになった?」 なるほど、確かにそのときのわたしは、大層肌の調子が良かった。自分に合うスキンケア用品を見つけ、肌荒れが減っていたのだ。 そのことを話すと、彼は嬉しそうに笑った。 「俺はスッピンの顔も、肌荒れしててももちろん大好きだけど、やっぱり自分の彼女がキレイになるのは、何か嬉しいな」 わたしは決意した。コイツのために、わたしはメイクをがんばろう、と。 相性の良かったブランドでスキンケア用品を全て揃え、日々のお手入れは丁寧に。たまにメイクを落とさず寝落ちするようなことは、もうしない。あと、たまにパック。肌の調子がすごく良くなった。あんなに気になっていた大人ニキビが…全て消えただと………!?(驚愕) メイク自体も、ちゃんと自分の肌に合う色を研究し、必要なら改めて買い直すなどした。家族や友人にも、どれが似合うか聞き、アドバイスをもらった。 自分に似合う色を選ぶと、あら不思議、薄化粧でもちゃんと華やかに見えるのだ。スキンケアで肌トラブルも無くなった今、厚塗りともお別れである。 これはついでだが、ファッションもちゃんと研究して、自分に似合うテイストを見つけた。 わたしは努力した。かつてない程ファッション雑誌を読み、かつてない程ネット情報にも頼り、何よりかつてない程鏡と向き合った。自分の顔をあんなに凝視したのは、生まれて初めてです。 努力の結果、わたしは勝利を収めた。 具体的には彼氏から、 「すっっっごいキレイになったね!!!!!」 という全力の褒め言葉を頂戴した。やったぜ。 せっかくなので、今後もがんばって継続しようと思う。 正直、メイクは今も嫌いだ。面倒臭い。 だが彼氏のためにやるのは楽しい。世の中、大体そんなもんだ。 だから、男性陣は積極的に女性を褒めて欲しい。褒められたらもっとがんばれる。人間は褒められて伸びる生き物です。 がんばれわたし、がんばれ全ての女性たち。 大好きな彼の褒め言葉を糧に、わたしは今日も、鏡と向かい合うのであるーーーーー
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