2230人が本棚に入れています
本棚に追加
/732ページ
私は着替えを持って脱衣所に向かい、ドアを閉めてため息をついた。
服を脱いで浴室に入り、頭や体を洗いながら考える。
またつまらないことで腹を立てて喧嘩した。
ただの幼馴染みだった頃は喧嘩なんてしたことはなかったのに、結婚してからはどうして些細なことで喧嘩になるんだろう?
ホントは喧嘩なんかしたくない。
私は尚史と一緒に笑えたら、それだけで幸せな気持ちになれるのに。
私がお風呂から上がってリビングに戻ると、尚史は着替えを持って黙ったまま私の横を通り過ぎ、脱衣所へ向かった。
まだいじけているのか、拗ねているのか。
それとも私が意地悪したことに腹を立てているのか。
いや、もしかしたら私のことがイヤになったのかも知れない。
尚史が好きだと言ってくれることが当たり前のような気になっていたけど、本当は当たり前のことなんかじゃないんだ。
好きだから相手に好かれたいと思うし、それと同じくらい『嫌われたくない』と思う。
尚史に嫌われたくない。
私のことだけ、ずっと好きでいて欲しい。
いつも『モモにだけは嫌われたくない』と言う尚史の気持ちが少しわかった気がする。
最初のコメントを投稿しよう!