2 その名は「タクミ」

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2 その名は「タクミ」

知り合いだったの? 正面に座る向井から尋ねられて、玲子はハッと我に返った。 週明けの朝から、思いも寄らない再会は、かなりの衝撃だった。 それどころか、偶然にも週末に蘇った遠い思い出の当人が 唐突に目の前に現れた事実が、彼女に狼狽までをも、もたらした。 そんな胸の内を隠すように、玲子は低い声で答えた。 「知り合いというか、昔、少しだけ接点があったので……」 しかし、彼女の驚きがあまりにも鮮明すぎたせいか、向井は穿った探りを 入れるつもりはないようだ。 「でも彼、春頃からチョイチョイ来てたのにね。 あっ、そうか! 久しぶりすぎて、お互い気付かなかったって感じ?」 はあ、そうですね。 あっけらかんと訊いてくる向井に、玲子は困惑を苦笑に変えつつ頷いた。
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