プロローグ

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プロローグ

あ、君たち、もしかして新入生? そんな君たちに先輩が良いことを教えてあげよう。 この学校には、絶対に敵にまわしてはいけない組織が3つある。 何か分かるかい? ちょっと考えてみて。 理事会? そんな人たち滅多に出てこないよ。少なくとも俺は会ったこともないね。 先生たち? 先生たちもここの卒業生が多い。 味方になることはあっても、敵になることはないんじゃないかな。 うーん。なかなか難しそうだね。 答えを教えてあげよう。 正解の1つ目は生徒会。 その理由は、言わなくても分かるんじゃないかな。 学校生活で、一番の影響力があるのが生徒会。 メンバーも人気があってアイドル扱いだから、目をつけられたらファンが黙ってないよ。 2つ目は風紀委員長。 まあ、これも理由は生徒会に似たようなもんだね。 生徒会みたいに、目をつけられたら終わりってわけじゃないけど、自由はきかなくなるよ。 でも、校則違反とか、問題行動をしない限りは大丈夫。 最後の3つ目は、『騎士様親衛隊』 敵にしちゃいけない親衛隊ナンバーワン。 まあ、俺の個人的な意見だけど。 ここは、唯一、親衛隊持ちと教師が入隊できる親衛隊なんだ。 だから、隊員も影響力の強い人が多い。 生徒会メンバーは皆入ってるし、風紀の人たちも何人かは入ってるみたい。 あ、『騎士様』っていうのはあだ名ね。 『きし』っていう名前なわけじゃないよ? え?なんで『騎士様』なんて呼ばれてるのかって? まあ、とにかく騎士っぽいんだよ。見れば分かると思う。 正直、『騎士様』本人はすごく優しい人で、困ってたら助けてくれるし、滅多に怒らない。 怖いのは隊員だよ。 多分、『騎士様』に迷惑をかけても、本人は笑って許してくれる。 よほどのことじゃない限りね。 でも、周りの隊員たちが黙ってないよ。 『騎士様』はあんまり目立つことを好まないから、表立って親衛隊から何かされるわけじゃない。 でも、よく考えてみて? この学校の権力者たちが集まってるんだ。 どうなるかなんて、想像しなくてもある程度わかるだろ? 平穏な学校生活がしたいなら、近付かないことをおすすめするよ。 「なあ」 「ん?なんだよ」 「さっきの先輩の話、聞けて良かったよな」 「確かに。何も知らずに『騎士様』に関わってたりしたら、どうなってたか」 「入学早々、目をつけられてりしちゃたまらないよな」 「あ、ねえ。そこの新入生君たち」 「「え?」」 「教室はそっちじゃないよ。こっち」 「あ、ありがとうございます!」 「いいえ。どういたしまして。入学おめでとう」 「今の人、優しかったなー」 「なー。背も高いしかっこよかった」 「そういえばさ。さっきの先輩、『騎士様』のこと、背が高くて少し長めの黒髪だ、って言ってなかったか?」 「ああ、言ってたけどそれがどうかした...あ!今の人!」 「やっぱりそうか⁈そうなのか⁈」 「やべえな。まさか本物だったら...」 「やめよ。会っちゃったもんは仕方ねえ」 「とりあえず退散しよ」 「だな」 「あーあ。今日、入学式か」 とりあえず、あいつらに遭遇しないように部屋に籠ろ。 なんて、『騎士様』が思ってたことを、誰も知らない。
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