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防波堤に座ると、テトラポットが見えた。ハルカはぴょんとそこに飛び乗り、遊び始める。青く澄んだ海の奥には島が見える。何島かなと眺めていると、隣にカイリが座った。
なにも話さず、穏やかな沈黙が心地よかった。
そうしてると、ミナトが嬉しそうに「お届け物です」と後ろから声をかけてきた。ナギサを連れて、郵便屋さんごっこを始めたようだ。
くすりと笑って、「ありがとうございます」と受け取った。
プルメリア、大きめの石、葉っぱと順々に増えていく。
近くにいた野良猫を観察しだすので「猫はやめろよ」とカイリが止める。ミナトなら、やりかねない。想像すると可愛くもあるけども。
そうしていると、しゃがみこみ、何かを掴んで戻って来た。
「お届け物です」
さっきよりも、ちょっと得意気な顔をしてるので、今度はなんだろう。
ハルカが防波堤をよじ登り
「わかった。虫でしょ?」
「違うば」
「綺麗なの?」とハナも訊ねる。
「でーな!」
得意気に小さな手を開いたその瞬間、どうして――と思った。
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