序章

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序章

 街を歩くといろんな人とすれちがう。彼らには彼らの人生があって、さまざまな思いを抱きながら生きている。その彼らが自分と同じ人生を歩むことは決してない。同じ人生を歩むことのない彼らに、不可能だと分かっていながら、人間はどうして自分のことを理解してほしいと願ってしまうのか。独りは嫌だから?さみしいから?愛してほしいから?それは人によってさまざまな形があるのだろう。  街ですれちがった彼らを私は名前も知らないし、彼らがどのような人生を歩んできたのかも知らない。けれど、名前も知らない誰かのささいな行動が、いつのまにか世界に大きな影響を与えていることはある。実際に、たった一発の銃弾が世界を変えたこともある。  生きてきた世界、時間、環境。すべて違うはずなのに、やがて彼らの取った行動は、大きな流れを生み出し、世界を変えた。  ――それは、まぎれもなく私が望んだ世界の在り方。
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