231人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
秘密のオフィスラブ
なんだ。私、課長のことが好きだったみたい。泣きそうなぐらい嬉しいんだもの。
コクコクと頷く私を見て、課長も嬉しそうに笑った。
フルコースの締めくくりは、デミタスコーヒーとプチフール。可愛いラズベリー色のマカロンを口に入れると、上品な甘さと仄かな酸味が口の中に広がった。
「やっと笑ってくれた。いつも眉間に皺を寄せて仕事してる小暮が、岸田と雑談する時は可愛い笑顔になるのを見てから、ずっとモヤモヤしてたんだ。いつかあんな笑顔を俺に見せてほしいって」
課長の蕩けそうな笑顔だって、かなりの破壊力だ。
それにしても、私っていつもそんなしかめっ面で仕事していたのかな?
「課長、人間って、やっぱり褒められると嬉しいじゃないですか。自分の頑張りを認めてもらえたら、自信がついてもっと頑張れる。そういうものだと思います」
「だから『小暮はキレイだ』って、さっき褒めたじゃないか?」
「そのことだけじゃなく! 仕事ももっと褒めてください。毎日ネチネチと責められてたら、経理が嫌になって異動願い出しちゃうかもしれないですよ?」
ちょっと脅しを掛けてみただけのつもりが、話は意外な方向に進んで行った。
最初のコメントを投稿しよう!