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親父と並んでソファに座り、テレビを見るなんて何年振りだろう。
すっかり皺が増え、小さくなった親父を横目にそんな事を考えていた。
久し振りの実家は、何というか、全体的に縮んだ様な気がした。
親父はそんなこと気付かずに、短くなった薬指を反対の手でさすっている。
仕事中の事故だった。機械に巻き込まれて、親父の左手の薬指は第一関節まで無くなってしまった。
「もう指輪もはめられんな」
包帯を巻いた手を俺に店ながら、弱々しくそう言って笑ったのは、もう一年ぐらい前の事だ。
「痛むの?」
薬指を気にする親父に俺は尋ねた。
「痛むってわけじゃないんだがな……。まあ、疼くと言うか……」
親父はそう言いながら薬指の傷跡をさすり続けていた。
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