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 太陽の光が射し込んだ。祈りにも似た一筋の淡い光だ。小休止を終えてアミーシャが光の下へ移動する。軽く腕を上げると喧騒が止み、皆がアミーシャを注目した。 「訓練を再開します! 次は──」 「次はオレだ! フィリプ・ガシュパ──」  突然、ざわめきが起きてせっかくのガシュパルの名乗りを止めた。ゼドニーチェクがスッと細腕を上げたのだ。 「ゼドニーチェク生徒会長……!」  名を呼ばれたゼドニーチェクは周りの視線を気にすることもなく静かに雪を踏み、アミーシャの元へと向かった。その様子を、俺の横にいたナナキが一挙手一投足を見守るように凝視している。 「? なにしてるの? ナナキ、前へ」 「あっ!! はいっ!」  弾けたように立ち上がると、ナナキは走ってフィールドへと向かった。心なしかその顔が赤らんでいるように見える。  連戦だ。フリツにアミーシャ、ここに来て強敵と戦い続けている。魔力はまだまだ残っているだろうが、体力はかなり消耗しているはず。果たしてゼドニーチェク相手にどこまで立ち回れるか。 「おいおい、まじかよ……」  戦いの行方を見つめる人の間を通って肩を落としたガシュパルが、とぼとぼと戻ってきた。 「なんだ、情けない様子で」 「そりゃそうだろう。せっかくやる気を出してたのに、あの白髪の生徒に持ってかれちまって、恥ずかしい」 「仕方ないよ。ゼドニーチェク生徒会長は、学園創立以来の天才魔法使いと言われている。それにあの整った容姿。生徒達からの人気も高いんだ」  いつの間にやら隣にいたマハーチェが、若干憐れむような視線をガシュパルに向けて微笑んだ。 「なんだ、まあ、確かにオレはこんなだけど……」  ガシュパルは俺の横に並ぶと大きくため息をつき、あごひげをなで回す。 「……そのヒゲのせいだと思うがな」 「なに? なんか言ったか?」 「いや。ところで、マハーチェ。ゼドニーチェクはどんな魔法を使うんだ? 天才と呼ばれるくらいなら、オリジナル魔法の一つや二つは持っているんだろう?」 「うーん……それがね……」   マハーチェは口を閉ざすと、ゴーレムに似た角張った顔に曖昧な笑みを浮かべる。 「なんだ? もったいぶって」 「僕にも詳しいことはわからないんだ。彼は、力を誇示するタイプじゃない。学院の訓練レベルではオリジナル魔法は必要じゃない。多くの学生は、まず基礎を身に着けて卒業後それぞれの道で魔法を編み出していくからね。ただ、彼の魔法は思いつきでつくったような魔法のレベルを超えている。きちんと体系化されているんだ。噂によるとそれは、月の魔法だとか」 「月、だと?」   フィールドでは、アミーシャの戦闘開始の声が響き渡った。距離を取るナナキに対してゼドニーチェクは微動だにしない。ナナキが手の平を上に向けた直後、ゼドニーチェクの白髪が揺れて魔法が詠唱された。 「月輪(げつりん)
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