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俺は、氷野さんが落ち着くまで待った。
『すみません…自分でもびっくりです。誰かの前でこんなに泣いたのは…初めてです。きっと月城さんが良い人だから、甘えたくなったんですね。情けないですよ、僕は…』
俺が差し出したティッシュで、涙を拭いながら氷野さんが言った。
『そんなことは…ないです。氷野さんは素晴らしい人です。穂乃果も言ってました。改めて考えれば、情けないのは俺の方かも知れません』
俺は…まだ、穂乃果と一緒に住んでるって言うだけで、付き合ってもなければプロポーズも出来ていないんだから…
氷野さんより情けない。
『何を言うんですか。月城さんは立派ですよ。自分の力で美容師として頑張ってる。穂乃果さんもそういうところに魅力を感じてるのかなって…それに…めちゃくちゃカッコイイし、大人だし、そんな色気…僕には到底出せません。本当に…穂乃果さんは幸せです。だけど…』
だけど…?
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