#10 true to myself

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 彼女の期待する以上にいい一日が、待っていることを。  大切なものはこの手に入れ、  そして守りぬきたい。  神が平等に分配する幸せにあやかるのではなく。 「えーお待たせしました、空港行き、六時十分発のバスが、出発します……途中高速に乗りますので安全のためシートベルトをお閉めください……」バスのエンジンがかかり、座席も振動する。  ぼそぼそとした抑揚のないアナウンスだったが、次のは僕向けにだった。 「……安全運転で行きますんで」  僕は頭を下げた。「お願いします」笑い混じりの声になった。  実を言うと乗り物に乗る度に寒気がする。特にバスと車の類は必ず。電車飛行機新幹線なら平気なんだが。  でもこの運転手なら、必ず、無事に運んでくれることを確信した。  この想いとともに。  彼女の元へと。  いまだ温かみを残す。  愛する彼女の四文字をこの胸に当てて僕は、安心して、身を委ねることとした。 『大好き』 ――『ただ左の手のひらに・最終章』END――  
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