#4 「観察するは我にあり」

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 俺たちが最初に訪れたのは懸垂幕が落ちた現場。当時、俺が美香を待っていた昇降口前のベンチ周辺だ。 「なるほど、ここで夏目君は神崎さんを待っていたわけだね。ちなみにここ以外で神崎さんと待ち合わせをしたことはあるかな?」 「いや、ここ以外では待ち合わせたことはないな」  蛍は「なるほど」とつぶやきながら、ベンチをまじまじと観察していた。木材と鉄で出来た無駄にオシャレなベンチ。学校にあるベンチというと、安っぽいプラスチックで出来た古いベンチというイメージがある。昨年まではここのベンチもその安っぽいベンチだったが、欲を抑えきれない男子生徒達の暴走により座面部分が真っ二つにされた。このベンチは、なんでも新しくしたいというこれまた欲にかられた校長が選んだものだ。  しかし「校長先生の購入したベンチ」というレッテルは強烈(きょうれつ)だったらしく、壊したらやばいというイメージがあるのか使う生徒は少ない。待ち合わせには最適だった。  
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