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「みー、なに、にやにや、してるの?」
ぎくっ!!!!
ジョグですこしだけ息を切らせながら、たっちぃが聞いてきた。
「いや、えっとぉ、えっ?あたしっ、にやにやっ、してた?」
「うん、なんだかっ、たのしそうなっ、感じだわよっ?」
「そっ、そうかなっ・・・」
「なんかっ、いいことっ、あったのっ?」
「べっ、べつにっ・・・」
ホントはあったけど。
「そっ、そうっ・・・じゃぁっ、悩み事がっ、解決っ、したのかしらっ?」
あ、そうか・・・昨日そんな話、したよね。気にしてくれてたのかな。
「そっ、そうだねっ、ちょっと、見えたかなってっ」
「そうっ、良かったわねっ」
そう言うと、たっちぃは疲れたのか、ちょっとペースを落としてあたしの後ろに下がって行った。
はあぁぁぁぁ・・・たっちぃ、するどい・・・なんでわかるんだろう?
あたしってそんなに顔にでるのかな・・・ホントに気をつけないと。
でも、どうやると気がつかれないようにできるのかな・・・
部長みたいに、普段から演技するくせをつけたりしないとダメなのかな・・・
かといって、突然お嬢様みたいな演技したりなんて、あたしには無理無理ムリ・・・それでも二人の関係をみんなにばれないようにするには、なんとかしないといけないし・・・
でもなぁ・・・どうなんだろう。やっぱり隠しておかないといけないのかなぁ。部長と川端先輩は、まわりに言ってるし、それでも普通にしているし・・・
ふと気がつくと、周りには誰もいなくて、一人で先陣切って走っていた。いつのまにかジョギングというよりマラソンのようなペースで走っていたらしい。同級はおろか、先輩たちもすっかり抜き去って、彼女たちは校庭の半周後ろをジョグしていた。
あたしはちょっと恥ずかしくなって、そのままダッシュ、半周を全力で走って追いついてから、照れ隠しに大きな声で
「よしっ、ウォームアップ終わりっ!」
って言ってから、止まってかるく体をほぐした・・・
あー恥ずっ・・・
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