119人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ
あたしと彼女とはじめてと
ほほを何かがさらっとなでた・・・くすぐったい・・・
ふわっと何かが香った・・・いい匂い・・・
背中がちょっと苦しい・・・
寝返りを打とうと思って肩をずらすために、腕を・・・
腕を・・・あれ?
左腕が・・・しびれて動かない。
そっと頭をうごかそうと・・・
あ、そうだ、あたし頭ケガしてるから真上向くと痛いんだった・・・
起きなきゃ・・・
目を開けると・・・
目の前にあったのは、すこし茶色がかったサラサラの髪の頭・・・
そうだ・・・優依・・・昨日泊ったんだ・・・
胸からお腹にかけて、やわらかな体が押し当てられて・・・ふとももの上にも柔らかな足が・・・リズム良く動く息づかいにあたしの気持ちは・・・
こんなおだやかな気分になったのはいつぶりだろう?
そのあとに、昨夜(ゆうべ)のことが思い出されて・・・
顔がにやけて・・・
恥ずかしくなって・・・
で・・・でも・・・
腕が・・・ああ、しびれてる・・・
優依、起きないかな・・・
腕、抜いたら起きちゃうかな・・・
起こしちゃかわいそうだし・・・
「ん・・・んん・・・」
優依がもぞっと動いた・・・
お、起きた・・・かな?
ぎゅーっっっ・・・
「はぅっ・・・」
いきなり抱きしめられて声が出た。
「んん?・・・あ、みゅぅ・・・おあよぉ・・・」
優依が・・・ふにゃっとした顔で下から見上げてきた・・・
っっかわいいっっ。
「優依・・・おはよぉ・・・」
なんか・・・あたしもぎゅーってしたくなったけど・・・
腕が言うこときかない。
優依はそのままもぞもぞとあたしの胸のあたりで目をこすり、いちど体を離して仰向けになったあと、おなかに巻き付いていたタオルケットをひっぺがして、上体を起こした。
あたしもしびれていないほうの腕で体を支えて上半身を起こした。
すると、優依がふわっと振り向いたと思ったら、あたしの両側に手をついて、顔のすぐ下から上目遣いに覗いてきた。
「美優・・・もういっかい、ごほうび、ちょうだい?」
「えっ」
言うが早いか、唇にチュっとキスして、ほっぺたを擦り付けて抱き着いてきた。
「あっ・・・」
しびれた左手が支えきれなくて、またベッドにふたりで倒れこんだ。
「きゃ・・・」
可愛らしい声を出して、優依があたしのうえにのっかった・・・
ボリュームのある優依の胸があたしの胸に重なった・・・
まるでトランポリンかと思うようなはね方をしたのがおかしくて、笑った。
「あはははっ・・・優依ってばっ・・・っ可愛いっ」
「ふふっ・・・美優の方が可愛かったわ?」
その瞬間にまた、昨夜のことが思い出されて・・・
すっごく恥ずかしくなった・・・
「あ・・・えっと・・・だって・・・優依が・・・」
「ふふふっ・・・美優、大好き」
そう言ってまたほっぺたを擦り付けてきた。あたしは、もう、こんな幸せがあるのかって言うくらい、幸せな気持ちでいっぱいになって、右手で優依の背中を抱いた。
「美優・・・左手、どうしたの?」
左側にだらっとさせていた左手に気がついて、優依が聞いてきた。
「あ・・・いや、しびれて動かない・・・」
「あっ・・・えと・・・ごめんなさい・・・・でも」
「でも?」
「ふふふ・・・」
「どしたの?」
「なんでもないわ」
そう言って、またあたしの上に乗ったまま、ほっぺたを擦り付けて来た。
あたしはたまらなくなって優依の耳もとで
「・・・優依・・・好き・・・大好き・・・」
そうささやいてから、もういちど全身の力を抜いて、優依の重さをかみしめた・・・
最初のコメントを投稿しよう!