あたしと彼女とはじめてと

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あたしと彼女とはじめてと

ほほを何かがさらっとなでた・・・くすぐったい・・・ ふわっと何かが香った・・・いい匂い・・・ 背中がちょっと苦しい・・・ 寝返りを打とうと思って肩をずらすために、腕を・・・ 腕を・・・あれ? 左腕が・・・しびれて動かない。 そっと頭をうごかそうと・・・ あ、そうだ、あたし頭ケガしてるから真上向くと痛いんだった・・・ 起きなきゃ・・・ 目を開けると・・・ 目の前にあったのは、すこし茶色がかったサラサラの髪の頭・・・ そうだ・・・優依・・・昨日泊ったんだ・・・ 胸からお腹にかけて、やわらかな体が押し当てられて・・・ふとももの上にも柔らかな足が・・・リズム良く動く息づかいにあたしの気持ちは・・・ こんなおだやかな気分になったのはいつぶりだろう? そのあとに、昨夜(ゆうべ)のことが思い出されて・・・ 顔がにやけて・・・ 恥ずかしくなって・・・ で・・・でも・・・ 腕が・・・ああ、しびれてる・・・ 優依、起きないかな・・・ 腕、抜いたら起きちゃうかな・・・ 起こしちゃかわいそうだし・・・ 「ん・・・んん・・・」 優依がもぞっと動いた・・・ お、起きた・・・かな? ぎゅーっっっ・・・ 「はぅっ・・・」 いきなり抱きしめられて声が出た。 「んん?・・・あ、みゅぅ・・・おあよぉ・・・」 優依が・・・ふにゃっとした顔で下から見上げてきた・・・ っっかわいいっっ。 「優依・・・おはよぉ・・・」 なんか・・・あたしもぎゅーってしたくなったけど・・・ 腕が言うこときかない。 優依はそのままもぞもぞとあたしの胸のあたりで目をこすり、いちど体を離して仰向けになったあと、おなかに巻き付いていたタオルケットをひっぺがして、上体を起こした。 あたしもしびれていないほうの腕で体を支えて上半身を起こした。 すると、優依がふわっと振り向いたと思ったら、あたしの両側に手をついて、顔のすぐ下から上目遣いに覗いてきた。 「美優・・・もういっかい、ごほうび、ちょうだい?」 「えっ」 言うが早いか、唇にチュっとキスして、ほっぺたを擦り付けて抱き着いてきた。 「あっ・・・」 しびれた左手が支えきれなくて、またベッドにふたりで倒れこんだ。 「きゃ・・・」 可愛らしい声を出して、優依があたしのうえにのっかった・・・ ボリュームのある優依の胸があたしの胸に重なった・・・ まるでトランポリンかと思うようなはね方をしたのがおかしくて、笑った。 「あはははっ・・・優依ってばっ・・・っ可愛いっ」 「ふふっ・・・美優の方が可愛かったわ?」 その瞬間にまた、昨夜のことが思い出されて・・・ すっごく恥ずかしくなった・・・ 「あ・・・えっと・・・だって・・・優依が・・・」 「ふふふっ・・・美優、大好き」 そう言ってまたほっぺたを擦り付けてきた。あたしは、もう、こんな幸せがあるのかって言うくらい、幸せな気持ちでいっぱいになって、右手で優依の背中を抱いた。 「美優・・・左手、どうしたの?」 左側にだらっとさせていた左手に気がついて、優依が聞いてきた。 「あ・・・いや、しびれて動かない・・・」 「あっ・・・えと・・・ごめんなさい・・・・でも」 「でも?」 「ふふふ・・・」 「どしたの?」 「なんでもないわ」 そう言って、またあたしの上に乗ったまま、ほっぺたを擦り付けて来た。 あたしはたまらなくなって優依の耳もとで 「・・・優依・・・好き・・・大好き・・・」 そうささやいてから、もういちど全身の力を抜いて、優依の重さをかみしめた・・・
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