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「RYOくんはいりまーす」
「こんにちはー。今日はよろしくお願いします」
撮影現場にお姉ちゃんと行き、メイクを治してもらつていると今日の相手役の男の子がニコニコとした笑顔を振りまきながら入ってくる。
「紗羅、挨拶行こう」
「う、うん……」
嫌だと思いながらもお姉ちゃんの仕事を潰すわけにはいかないので、お姉ちゃんについて歩いていく。
「あ!君がセリカさんの妹さん?」
あたしたちが声をかける前に彼があたしたちに気が付き声をかけてくる。
「は、はい」
「そっかー!セリカさんの妹さんに会って見たかったから嬉しいよ!」
「そ、れはどうもです」
「今日はよろしくねー!撮影楽しみ!」
本当に楽しみそうに言う彼は「はい、これ」ってあたしになぜかミントタブレットを渡してきた。
「え?」
「緊張してる顔してるから。これすげー辛いの。少しは飛ぶんじゃないかな?」
「……っ、からっ!」
「あはは!その顔最高だよ」
彼の「すげー辛い」という忠告の少し前に口に含んでしまったそれは口中に辛さを充満させていく。
「お姉ちゃん!お水が欲しい!辛い!」
「え?一体どうしたの?」
首を傾げながらカバンからペットボトルを取り出してあたしに渡す。
「RYOくんがくれたタブレットが激辛だった」
「あっはは!紗羅、辛いの苦手なのになんで食べたの?」
可笑しそうに笑うお姉ちゃん。
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