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〈プロローグ〉
ガラリと教室の戸が開いた。
入って来たのは転校生。よその学校の制服を着ている。
多分、急な引っ越しで、間に合わなかったのだろう。
この学校はブレザー制服。
彼はグレーの詰襟を着ている。
女子の黄色い声が上がった。
整った顔立ち、愁いを帯びた視線。
背を向け黒板に名を記す。
【緋彩 廉】
ざわめきが広がる。
「あれ・・なんて読むの?」
黒髪の少年は彼を見た。
隣の席でホームルームを無視して、うたた寝する
淡い髪色の少年が居る。
転校生は一言、自分の名を言った。
ハスキーな低音ボイス。
「ひいろ れん。よろしくな」
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