30

14/16
79人が本棚に入れています
本棚に追加
/349ページ
真さんは変わらず私と恭吾を大切にしてくれて、恭吾はきっと「まこちゃん」って呼びながらも父親として真さんを見ていると思う。 よく恭吾は由彰くんの家にお泊りをさせてもらい、そんな日は二人で真さんの部屋で過ごした。 もちろん、身体の関係も。でも子供が欲しいとかは言われてなくて必ず避妊もしていた。 恭吾と由彰くんは、一緒にサッカークラブに入会した。 私も学校を卒業してからはお手伝いにも参加するようになって、二人がこんなにサッカーが上手なんだと驚いた。 学校に行っている間は由実ちゃんと昌くんが主にお手伝いをしてくれてて、ほとんど見学に行ったことがなかったから。 できないことはとことん二人で練習していたそうだ。 自分のことで精一杯の間に恭吾はそんなに頑張って成長していたなんて見ていなかったことがもったいない。 そして、4年後4月、恭吾は15才になり高校へ進学した。 何の縁なのか私が卒業した高校の全日制に合格し、今日は入学式。 私が通っていたときに大吾が毎日迎えに来てくれていた思い出の校門だ。 そしてあの頃の私と同じ年頃に成長した恭吾は大吾にそっくりだった。 よくパパの話を聞かせていたけれどほとんど記憶もないはずなのに、性格までそっくりになった。 この思い出の場所でそんな恭吾を見ていると大吾にまた会えたような気になる。 「さあ、並んで写真をとるから。」 真さんがそう言いながらスマホをこちらに向けている。 「え~!恥ずかしいから1枚だけな。」 すっかり大きくなった恭吾はもう親離れしてて私といるよりも友達といる方が楽しいようだ。 何とか写真は笑顔で撮れたけど、私の目からは涙が溢れて止まらなくなった。
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!