ジェフテリア

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ジェフテリア

 性差の存在しない世界。  そこには肉体による不便さと利便さしかない。  少しだけ。  そう少しだけ・・・・。  差別はない。  在るのは僅かばかりの優劣。  だけど、劣っているとか、優れているとかじゃない。  個性みたいなもの。  寧ろ肉体的な差異は意味がない。  そんな世界。  子供だってそう。  女性が産む必要もない。  男性が植えつける必要もない。  個々の体に在る性細胞から、或いは体細胞からノイドルが造れるからだ。  ランダムに遺伝子を変化させた単一胚から生まれる子供。  クローンでも、コピーもでない・・・ノイドル。  だから、生物学的な逢瀬も意味がない。  男性が女性を  女性が男性を  愛する意義がないのだ。  そう―――  この世界は寧ろ百合や薔薇のような色情が高尚だと好まれる。  異性を好きになる事  それは猿を犯すようなものだと哂われる。  だけど・・・  そう―――  だけど・・・  きっと私は貴方を好きになる、と思う。  既知外だと罵られても  狂っていると蔑まれても  死んでしまえと悪意を飛ばされても  きっと、どんな苦痛も耐えられる・・・・。  だって―――  それこそ性差に関係なく生まれた  純粋なAIだから・・・・。  これは『 Artificial Intellgence 』の略称『 AI 』を    愛と呼んだ少女の手記より抜粋、一部割愛したものである。  彼女が    " AI "で形作られた物なのか    " I "と自称する何者なのか  それとも愛を知らないモノなのか  それでも貴方は知っている。  これは他愛ない話だと云う事を・・・・。  (完)
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