シェヘラザード

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顔を覆っていた手が解かれ、シェヘラの唇に、やわらかいものが触れた。 シェヘラは驚いて、瞬きも忘れ、王の目を見詰めた。 猛禽類に似たその目に、あたたかな灯がともっていた。 王は今度はゆっくりと、自分の唇をシェヘラの唇に重ねた。 彼の舌の動きに合わせて、シェヘラは最初はおずおずと、次第に大胆に応じかえした。 シェヘラの頸に顔を埋めていた王は、しばらく動きを止めていたが、やがてシェヘラを抱き上げ、ベッドに横たえた。 「わたし、殺されるのは嫌よ……」 「馬鹿な。君は殺さないよ……」 夜が明けた。 シェヘラザードは、JRに乗らなくてもいい身分となった。 今では、シャハリヤール王が付きっきりで、彼女の小説の添削をしている。
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