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次の日。
学校に行っても、煌野はいなかった。
『煌野光』という人物もいなくなっていた。
「確かにいた…俺の好きな煌野は…。今でも…」
俺は確信していた。
煌野がどこに行ったのか。大事な役目を、自分が消えないためにも、俺に忘れられないためにも果たしに行ったんだ…
俺はアルバイトを始めた。
煌野としゃべって過ごした以上に時間を費やして、お金を貯めた。
ある日うちの狭いベランダに、俺の買った望遠鏡を置いた。
「スゴイ〜!兄ちゃん、買ったの!?」
「まあな。ずいぶん、時間かかっちゃったけど…」
うらやましがる妹に明日見せる約束をしてなだめ、俺は一人、調べておいたとおりに調整をして望遠鏡を覗き込んだ。
「煌野…おまたせ…今度煌野が戻ってきたらさ、また一緒に話をしような…」
たくさんある中の一番小さな星が、チカチカと瞬いた気がした。
終
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