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エピローグ
ーー昨晩、彼方と空が店を後にしてから、日城は龍ヶ崎に、とある〝説明〟をしていた。
「彼らのように、前世で結ばれた者とは違う者と現世で惹かれ合った場合、前世の記憶は徐々に消えていくんです。現世では、必要のない記憶ですからね」
その言葉に、龍ヶ崎は「なるほどね」と頷く。
「だけど、それならそうと彼方くんに言ってあげたら良かったのに。そういう理由なら、あんなに悩まなかったんじゃない?」
龍ヶ崎はそう尋ねるが、日城は
「言っても言わなくても関係ないですよ。君嶋さんのオーラも実はだいぶ小さくなっていましたし、明日には空くんと一緒に前世のことなんて忘れてると思います」
と、いつものようにクールに答える。
「……そんな冷たいこと言ってるけどさ、本当は彼方くんのことを思ってあえて言わなかったんじゃない? その方が彼方くんにとって、空くんがいかに大切な存在か、彼方くんの心の奥に刻むことが出来るもんね。日城くんって優しいね」
「ちっ、違います。僕はただ、君嶋さんを困らせたかっただけです」
「はいはい。……それにしても、彼方くんも前世の記憶を忘れちゃうのかあ。じゃあ二人とも、明日には俺のことも忘れちゃってるかな?」
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