猫又坂🐱ミッドナイト

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 有無を言わさず抱きしめると、俺までバカみたいに泣きたくなった。 「……でも初音さんが悪い。疑ったし、嘘つきって言ったし」 「まあ……それな」 「それに太一くんの事は名前で呼ぶのに。僕まだ呼んでもらった事ない!」  そんなコトまで!? 「まさかそれで太一に対抗意識持って……バラしたり、俺を試したり」  こくんと頷く、メンドクサイやつ。 「あのな、お前だって初音さんだろうが。そもそも俺の名前なんて覚えてるのか?」 「当たり前……!」  答えを待たずに、俺は抱いていた七瀬をカーペットに押し倒した。 「じゃあ呼んでみろよ。……楓」  泣き笑いのように潤んだ瞳。こんな事でそんなイイ顔するならもっと早く言いやがれ。 「と、(とう)……」  桜色の唇がためらいがちに囁く。 「トンマ」 「クソ犯すぞ、てめぇ」  パッと華やいだ顔をして、   「……ぜひ」  嬉しそうに頬を染めた楓の唇を、今日は俺が奪ってやった。 「どうしよ。僕いま、バカみたいに幸せ」 「お、おう……」 「つーても、最終的にミャーってするのは柊真だけど」 「みゃっ!?」  俺たちはイチャコラする為に出逢い、イザコザしながらも続いていくのだろう。  猫又坂の(つがい)は今夜もきっと、絶対、確実にエンドレス──。 【猫又坂🐱ミッドナイト おしまい】 51630edf-1a7d-426c-9c4e-81068d59535b 1f7380cb-0c13-4526-9976-54071de7f572
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