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有無を言わさず抱きしめると、俺までバカみたいに泣きたくなった。
「……でも初音さんが悪い。疑ったし、嘘つきって言ったし」
「まあ……それな」
「それに太一くんの事は名前で呼ぶのに。僕まだ呼んでもらった事ない!」
そんなコトまで!?
「まさかそれで太一に対抗意識持って……バラしたり、俺を試したり」
こくんと頷く、メンドクサイやつ。
「あのな、お前だって初音さんだろうが。そもそも俺の名前なんて覚えてるのか?」
「当たり前……!」
答えを待たずに、俺は抱いていた七瀬をカーペットに押し倒した。
「じゃあ呼んでみろよ。……楓」
泣き笑いのように潤んだ瞳。こんな事でそんなイイ顔するならもっと早く言いやがれ。
「と、柊……」
桜色の唇がためらいがちに囁く。
「トンマ」
「クソ犯すぞ、てめぇ」
パッと華やいだ顔をして、
「……ぜひ」
嬉しそうに頬を染めた楓の唇を、今日は俺が奪ってやった。
「どうしよ。僕いま、バカみたいに幸せ」
「お、おう……」
「つーても、最終的にミャーってするのは柊真だけど」
「みゃっ!?」
俺たちはイチャコラする為に出逢い、イザコザしながらも続いていくのだろう。
猫又坂の番は今夜もきっと、絶対、確実にエンドレス──。
【猫又坂🐱ミッドナイト おしまい】
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