0人が本棚に入れています
本棚に追加
/303ページ
結果として今が有るのだとやっと、悟った。
(なれば此度も俺の業か)
またひとつ喪った。
己の生きた時代もそうだった。
流される侭にしか進めず、伝わるのかどうかも解らない文で意志を伝えた。
が────伝わらなかった。
見たくはなかった最悪が
絶望が、何年も己を苦しめた。
与一郎「……済まない」
忠興「えっ…?」
与一郎「俺も再び、過ちを犯す所だった」
忠興「あやまち?」
与一郎「刃を向ける相手を見誤った」
忠興「其れは…僕が先に向けたから」
与一郎「訊きたい事がある」
忠興「……言えない」
何がと言わず、首を左右に振る。
暴かれている。
其れは忠興にとって、今だけではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!